FEMtools ソリューション・ガイド

FEMtoolsは、Dynamic Design Solutions (DDS) によって開発された、ソルバー (FEA/EMA)やプラットフォーム(Windows/Unix/Linux/MacOS)に関係なく使用できるCAEソフトウェアです。システムは、次の解析モジュールで構成され、技術者の目的に応じたシステム・ソリューションが提供されます。

FEMtools Framework (フレームワーク)
FEMtools Dynamics (ダイナミクス)
FEMtools Correlation (相関分析)
FEMtools Model Updating (モデルアップデーティング)
FEMtools Optimization (最適化設計)
FEMtools MPE:Modal Parameter Extractor Extractor (実験モーダル解析)
FEMtools RBPE:Rigid Body Properties Extractor (剛体特性解析)

FEMtools Framework(フレームワーク)

FEMtools Framework は、先進のエンジニアリングアプリケーションの開発、統合、および自動化に必要な多機能 の環境を提供します。FEMtools Frameworkには、データインターフェイス、データベース管理ユーティリティ、メッシュの生成 &操作用ツール、パラメータ&応答の管理、最先端のビジュアライゼーションに加えて、完全な機能を備えたスクリプト言語およびAPI関数ライブラリが含まれます。

オプションとして、FEMtools Frameworkを拡張し、 FEMtools Dynamics 、FEMtools Correlation、FEMtools Model Updating、FEMtools Optimizationなどのソリューション・システムへアップグレードすることができます。また、ABAQUS, ANSYS, MSC.Nastran, NX Nastran, I-DEAS、あるいはインハウスのソルバーと簡単に統合化でき、より大規模な解析プロセスの一部として操作することができます



FEMtools Framework の構成モジュール

■主な機能



FEMtools Framework
ユーザーインターフェイス

■主な用途

■利点

FEMtools Dynamics (ダイナミクス)

FEMtools Dynamicsは、動的応答と構造変更のシミュレーションを行う先進の有限要素ソリューションです。

■主な機能



FEMtools
Dynamics + MPE  (実験モーダル解析)

■複素モード解析

■スーパー要素解析

スーパー要素法は、いくつかの要素をグループ化することによって定義され たサブストラクチャ(部分構造)を別々に解析します。スーパー要素は時間領域や周波数領域の応答解析、設計の最適化、確率的解析、ロバスト設計、マルチボディシミュレーションのように、重要な意味を持つ再解析が必要な適用分野において、大幅な計算時間の節約を実現します。スーパー要素は、コンピュータリソースの制約(内部メモリ、ディスク容量)によって完全な解を得ることができないような状況を克服するためにも使用できます。



FEMtools Dynamics
固有値解析

■周波数応答関数(FRF)

FRFを求めるために、応答関数を加振力で割ります。この関数は外力の情報を含んでいないので、それはちょうどモード特性のように構造物の質量、剛性、および減衰の特性にのみ依存します。したがって、FRFは相関分析、感度解析、およびモデルアップデーティングにも適しています。



FEMtools Dynamics
周波数応答解析

■調和解析

調和解析(Harmonic Analysis)はモード解析および直接ダイナミック解析が応用されます。

調和応答解析(Harmonic Response Analysis)は対象周波数領域における加振力ベースの変位、速度および加速度の応答を推定します。FEMtoolsは、実稼働シェープの任意位置(DOF)の調和応答関数を使用します。

■外力応答解析

実稼働荷重を推定するには正確に運転条件下の動的構造応答をシミュレートする必要があります。対象構造物が強靭性、耐久性あるいはノイズ環境において、振動/音響に基づく励振力による応答を得ることによって、構造の動的特性を同定しなければなりません。

外力同定(Force identification)は以下の条件に基づいて利用できます。

FEMtools Harmonic Response Analysis 調和応答解析

■構造変更シミュレーション

Structural Dynamics Modification (SDM) は、構造変更によるモードパラメータへ影響を高速シミュレーションして、FRFsや実稼動モードシェープのような結果を算出する設計向きのツールです。構造変更は、簡単なばね、質量、ダンパー、あるいは任意のタイプの有限要素(バー、ビーム、シェル、ボリューム)としてモデル化することができます。ただ一つのモデル形状とモードパラメータしか使用されないので、SDMは有限要素データ、テストデータ、および混合モデルに有効です。



FEMtools Dynamics SDM
構造変更シミュレーション

SDM解析の利点は、すべての解析がモード空間で行われることです。構造変更は、ローカル座標で表された質量、剛性、減衰の等価な変化に転換されます。その結果得られる連立方程式は、最小の計算費用、つまりリアルタイムで解くことができます。

■変更要素



FEMtools Dynamics 材料特性と幾何学特性の同定

FEMtools Correlation (相関分析)

FEMtools Correlationは次の ツールを含んでいます。

■プリテスト解析

基準となる有限要素モデルが使用できる場合、このモデルはテストをシミュレートするために使用することができます。これは、テストエンジニアに構造物を加振する最適な位置と方向、およびトランスデューサの設定位置を与えてくれます。FEモデルは縮小してテストモデルに変換することができます。プリテスト解析によって、次のような問題を推定することができます。



FEMtools Correlation プリテスト解析

■主な機能

■利点

■相関分析

相関分析は、2組の結果データを定量的かつ定性的に比較します。通常、これはFEMtoolsデータベースにインポートされたFEAとテストのデータベースです。しかし、このツールはFEA-テストに限らず、FEA-FEAやテスト-テストの相関にも使用することができます。



FEMtools Correlation
相関分析(FRF相関)



FEMtools Correlation
相関分析(MAC:モードシェープ相関)

■主な用途

相関分析は、FEモデル検証、最適テスト条件の設計、異なるモデル化戦略、モデル化誤差の同定、損傷探索、...などに使用されます。相関分析の結果は、FEモデルアップデーティング用の目標を定義するために使用されます。よく似たモードシェープは、FEデータベースとテストデータベース において同定され、したがって共振周波数の差異、MAC、モード変位に関するレジデューが得られます。

もう一つの用途は、測定でしか得られない情報によって解析者を援助することです。一例として、モード重ね合わせ法に使用されるモード減衰が挙げられます。モード減衰は実験的に得られ、相関分析を使ってテストモードシェープと最もよく一致することが分かった解析モードシェープに適用されます。

モード相関分析は、アウトプットオンリーモード解析(Output-Only Modal Aanalysis)によって得られたテストモードシェープのスケーリングにも使用されます。解析モードシェープによって使われるものと同じスケーリング(たとえば、単位モード質量)が、相関のあるテストモードに適用することができます。グローバル相関分析と違って、位置相関の手法はより良い相関とかより低い相関を識別するために使用されます。これは構造物の情報にリンクされるときに「モデル化の誤差」として解釈することができます。これらのツールがどのように使われるかによって、その結果はアップデーティング変数(パラメータ)の選択を支 援したり、構造物の欠陥を推定するために使用されたりします。

■主な機能

FEMtools Model Updating (モデルアップデーティング)

FEMtools Model Updating は、次のモジュールを含みます。



FEMtools Model Updating のモジュール構成

■感度解析

感度解析は、ばね剛性、材料の剛性、幾何学特性などのパラメータを変更することによりモデルの構造的応答がどのような影響を受けるかについて、その感じを解析者が掴めるようにするテクニックです。感度解析は次のような目的に使用できます。

感度係数は、パラメータ値の修正の結果として、応答値(例えば、共振周波数や質量)の変化を数量化します。応答とパラメータのすべての組み合わせに対して得られた係数は、感度マトリックスに保存されます。このマトリックスを分析することによって、構造物の感度が高い領域と低い領域に関する情報が得られます。カラーグラフィックスは、これらの異なる領域を視覚化して、パラメータ選択の迅速な最適化を可能にするために利用することができます。

感度解析およびモデルアップデーティングは、ユーザーによる参照応答とパラメータの選択を必要とします。感度係数は、微分法または有限差分法を使用して、FEMtoolsにより内部計算されます。計算が可能かどうかは、パラメータタイプや要素フォーミュレーション(要素タイプ)に由ります。別報として、外部で計算された感度係数をインポートすることができます。たとえば、NastranのSOL 200を使用して計算された感度は、FEMtoolsでモデルアップデーティング用にインポートすることができます。



FEMtools Model Updating 感度解析とモデルアップデーティング

■主な機能

■構造応答

次の参照応答タイプが感度解析用に選択できます。

■設計変数

以下のパラメータタイプが、感度解析用に選択できます。

パラメータは、ローカルレベルおよびグローバルレベルのいずれでも選択できます。

■モデルアップデーティング

FEMtools Model Updatingは、 有限要素モデルをテストデータのような参照目標にできるだけ一致するようにアップデートするためのユーティリティや手法を含んでいます。アップデートの方法は、シミュレートされた応答と目標値の間の相関が改善されるように、選択した(たとえば材料特性、ジョイント剛性などのような)要素物理特性を対話形式でアップデートする感度係数の使用に基づいています。応答のタイプは、静的変位、質量、モードデータ、FRFs、実稼動データ、あるいはMACのような相関値でも構いません。アップデートされるパラメータは、FEモデルの定義に使われるすべての質量、剛性、減衰が可能です。結果として得られるFEモデルは、より一層信頼性の高いものとして、それ以降の解析に利用することができます。

用途として、たとえばFEモデルの検証と高精度化、振動試験による材料の同定、FEモデルの縮小、損傷探索、...などが挙げられます。



FEMtools Model Updating 相関分析とモデルアップデーティング

■FEMtoolsにおけるモデルアップデーティング

有限要素モデルアップデーティングには、さまざまな方法があります。FEMtoolsは、感度係数と重み値(ベイズの推定)を使った、実績のある対話形式の、パラメータによる、モードベースおよびFRFベースのアップデーティングアルゴリズムを使用します。テストデータとの相関をチェックするために使用されるFEAの結果は、現時点のアップデートパラメータ値を持つFEモデルを使って比較されます。モデルアップデーティングの方法は、FEA結果とテスト結果との食い違いと、その食い違いを縮小するアップデートパラメータの変動量を決定するために感動係数を使用します。その後でアップデートパラメータの新しい値を使ってFEモデルを改善します。このプロセスは、相関関数を使って解析されたいくつかの収束基準を満たすまで繰り返されます。

■主な機能



FEMtools Model Updating FRFベースのモデルアップデーティング

■スーパー要素ベースのモデルアップデーティング

大規模なFEモデルを扱う場合、ボトムアップモデリングやテスト&アセンブリなどの方法が考えられます。これは、変更のない部分をモデル化するためにスーパー要素を使用するのがもっとも効率的です。残りの部分(=どのスーパー要素にも含まれない要素)においてアップデートパラメータが選択されれば、その残りの部分だけがアップデートされ、反復ごとにスーパー要素と結合されます。

■複数モデルの同時アップデーティング

Multi-Model Updating(MMU) は、異なる構造物の構成に対応して一つの有限要素モデルの異なるバージョンを同時にアップデートします。各々の構成に対して一つのモードテストが存在します。たとえば、衛星用のスカラーパネルは配備の異なる段階の間にテストすることができ、各段階に対して一つのFEモデルが存在します。これはすべての構成に共通の要素特性をアップデートするための参照として役立つ 、より多くのテストデータ集合を提供します。そのような特性とは、たとえばジョイントの剛性や材料特性などです。その他の例として、燃料の異なるレベルでテストされる打ち上げロケット、あるいは同定する必要のある複合材料でできた異なる形状の試験片などが挙げられます。



FEMtools Model Updating マルチ・モデルアップデーティング

■調和外力の同定

加振力が未知で、しかも直接測定できない場合があります。一つの解決方法として、応答値(たとえば変位、表面速度など)を測定し逆法を適用して加振力を同定することができます。外力応答解析(FRS:Forced Response Simulation)としても知られています。

例えば、FEMtools Model Updatingを応用するため、レーザースキャナーを使って測定された表面速度から、マフラーの空洞内の圧力を同定するために使用することができます。また、自動車などの駆動系(エンジン)モデルの応答をシミュレーションするのに有効です。
 
■主な機能



FEMtools Model Updating エンジン・シリンダ・ブロックの感度解析と外力同定

■確率的解析

すべての物理特性は、バラツキと不確実性の影響を受けます。この特性が構造物においてどのように伝播され、その結果出力応答にどのような変化をもたらすかを判断することは重要です。これは(たとえば、DfSS--Design for Six Sigmaのような)ロバスト設計に応用できますが、統計的相関や確率的モデルアップデーティングにも使用されます。

■主な機能

■統計的相関

統計的相関は、点群や統計的数量(重心、平均、標準偏差など)間の類似点や相違点に関する視覚的および数値的な解析を指します。テスト手順や結果の抽出方法もまた、バラツキや不確実性の影響を受けます。したがってテストデータは、確率論的なシミュレーションから得られる、よく似た点群と比較できる点群と考えることができます。点群の位置、サイズ、形状を比較することによって、シミュレーションモデルの品質をさらに詳しく把握することができ、テストされる構造物の、真の物理学的な姿を表現できる可能性が得られます。

■確率的モデルアップデーティング

確率的モデルアップデーティングとは、簡単に言えば、シミュレーションとテスト点群間の統計的相関やそれらの統計的数量を改善するために、設計パラメータおよびやそれらのランダム特性を修正することです。

■設計の改善とロバスト設計

シミュレーションモデルが検証され、したがって現実的なものになり、利用できるようになると、製品の性能や安定性(ロバストネス)という面で設計を改善することができます。確率的モデルアプデーティングと同様の手順を使うことによって、設計の目標や制約を満たすシミュレーション点群の位置、サイズ、形状を変更するために、設計パラメータおよびそれらのランダム特性が使用 できます。ほとんどの場合、これらの目標は、品質、耐久性、製造上の許容誤差、したがって全体のコストに関係する仕様に変換されます。



FEMtools Model Updating FRF相関ベースのモデルアップデーティング

FEMtools Optimization (最適化設計)

FEMtools Optimization は、汎用の構造設計最適化ツールです。FEMtools Model Updatinと組み合わせることによ り、検証済みかつ(または)アップデート後の有限要素モデルに対して設計最適化を行うユニークな可能性を提供します。

実際に作用する荷重、設計上の制約、および要求された構造物の挙動に基づいて、FEMtools Optimizationは、考慮中の コンポーネント(構造要素)または構造物に関する最適設計パラメータを計算します。FEMtools Optimizationの 先進の最適化技術によって、従来の方法よりずっと速く、考慮中のコンポーネントの性能を向上させることができます。FEMtools Optimizationは、問題定義において実質的に無制限と言っていいほどの柔軟性を提供し、好みの有限要素解析ソルバーを使って最適化問題を解く可能性を提供するオープンアーキテクチャを備えています。

FEMtools Optimizationは、次のモジュールを含みます。



FEMtools Optimization のモジュール構成

■感度解析

感度解析は、ばね剛性、材料の剛性、幾何学特性などのパラメータを変更することによってモデルの構造的応答がどのような影響を受けるかについて、その感じを解析者が掴めるようにするテクニックです。感度解析は次のような目的に使用できます。

感度係数は、パラメータ値の修正の結果として、応答値(例えば、共振周波数や質量)の変化を数量化します。応答とパラメータのすべての組み合わせに対して得られた係数は、感度マトリックスに保存されます。このマトリックスを分析することによって、構造物の感度が高い領域と低い領域に関する情報が得られます。カラーグラフィックスは、これらの異なる領域を視覚化して、パラメータ選択の迅速な最適化を可能にするために利用することができます。感度解析とモデルアップデーティングは、ユーザーによる参照応答とパラメータの選択を必要とします。

感度係数は、微分法または有限差分法を使用して、FEMtoolsにより内部計算されます。計算が可能かどうかは、パラメータタイプや要素フォーミュレーション(要素タイプ)に由ります。別報として、外部で計算された感度係数をインポートすることができます。たとえば、NastranのSOL 200を使用して計算された感度は、FEMtoolsでモデルアップデーティング用にインポートすることができます。



FEMtools Optimization 幾何学形状と材料特性の最適化

■主な機能

■構造応答

次の参照応答タイプが、感度解析用に選択できます。

■設計変数

以下のパラメータタイプが、感度解析用に選択できます。

パラメータは、ローカルレベルおよびグローバルレベルのいずれでも選択できます。

■メッシュモーフィング

Shape Optimization モジュールは、有限要素モデルのメッシュを変形させるために、次の3つの方法を提供します。



FEMtools Optimization メッシュモーフィングによる形状定義

■一般的な非線形最適化

FEMtoolsスクリプト言語を使用 すれば、どのような目的関数または制約関数でも、それをプログラミングすることによって、最適化のために使用することができます。最適化パラメータ、目的機能または制約関数の数に関する制限はありません。

■最適化問題

FEMtools Optimizationは、 次のような最適化問題が取り扱えるように、パワフルな非線形最適化ソルバーを核として構築されます。

■寸法の最適化

Size Optimizationは、バー、板、その他の指定可能な要素の特性を最適化することを可能にします。

■形状の最適化

Shape Optimizationモジュールは、既存のコンポーネントの形状を最適化します。

■主な機能



形状の最適化(初期形状と最終形状)



フォン・ミ−ゼス応力(左:初期形状の場合、右:最適化形状の場合)

■トポロジーの最適化

Topology Optimizationモジュールは、2次元および3次元の設計空間を扱うことができます。

■設計問題

Topology Optimizationモジュールは、次のような設計問題に対する解を提供します。

■フィルター

Topology Optimization モジュールは、以下のフィルターを提供します。

■製造上の制約

以下の制約は、最適設計の生産性を改善するために利用できます。



トポロジー最適化プロセスの概念図

■トポメトリーの最適化

Topometry Optimizationは、有限要素モデルの要素 一つひとつの寸法の最適化を可能にします。

■設計問題

Topometry Optimizationモジュールは、次のような設計問題に対するソリューションを提供します。

■フィルター

Topometry Optimizationモジュールは、以下のフィルターを提供します。

■製造上の制約

以下の制約は、最適設計の生産性を改善するために利用できます。



FEMtools Optimization トポメトリー最適化の結果の代表的な例

報告書作成機能(Framework
 
報告書(レポート)やプレゼンテーション資料を作成するための機能がサポートされています。


●お問い合わせおよび資料をご希望の方は、以下にご請求ください。

〒211-0016 川崎市中原区市ノ坪 66-5 LM武蔵小杉第2-215
TEL:044-738-0315
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